EARSは、EASE 4に可聴化機能を追加するオプションです。
可聴化とは、マッピングや表などのデータではなく、実際に音を聴いて評価するための高度な技術です。可聴化によって、音響予測を、数値だけではない主観的な音の評価へと発展させることができます。
また、可聴化により、カラレーション、フラッターエコー、ロングパスエコーなどの音響的に問題となる反射を検出できます。
EARSの可聴化は、バイノーラル(両耳聴)をベースとしていますので、音の方向性や立体感を極めてリアルに再現します※。
また、一般的にバイノーラルの音はヘッドフォンで試聴しますが、EARSはヘッドフォンモード以外にステレオスピーカーモード(トランスオーラル処理)も搭載しています。ステレオスピーカーを用いることで、より自然で立体感のある可聴化が可能です。
※アンビソニック B-Formatも可能です。
EARSの可聴化は、音響設計者のためだけのツールではなく、音響に詳しくないクライアントへのプロゼンテーションにおいて強い説得力を生みます。音響シミュレーションデータの提示だけではなく、比較試聴するデモンストレーションを行うことで、設計内容を正しく素早く相手に伝えることができます。
EARSを使うのは簡単です。以下がその手順です。
最初に、EASE 4 Standardに標準搭載されているRay Tracing Impact機能、あるいはAURA(オプション)に搭載されているAURA Response機能を使って、レフレクトグラム(反射音情報)を生成します。
レフレクトグラムは、各反射音のレベルや方向情報を持っているもののまだモノラルであることに注意してください。
EARSを立ち上げ、バイノーラルファイルへの変換機能を用いて、モノラルのレフレクトグラムをステレオのバイノーラルインパルス応答に変換します。
生成されたインパルス応答は、左耳および右耳のデータが出来上がります。
EARSの可聴化プレーヤーを立ち上げます。
2で生成したバイノーラルインパルス応答と、入力信号としてできるだけ残響の少ないオーディオ音源(無響室で録音したドライ音源のWAVファイルがベスト)をプレーヤーにセットします。