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建築音響設計支援

EASE 5 には、建築音響の設計を、音響的に精度よく、かつ迅速にサポートする多くの機能が搭載されています。ここでは、その中の代表的な機能をご紹介します。

◆ 3D CAD データのインポート・エクスポート

3D CADデータのインポート機能を使って、3D建築データ(DWGファイル)をEASE 5 に直接取り込むことで、モデリング作業の負担を一気に減らすことができます。
また、EASE 5の作図データをDWGファイルとしてエクスポートし、AutoCADやSketchupなどで修正後、再びEASE 5にインポートすることができます。
作図中の建築モデルに、新たに3D CADデータを重ね描きすることもできますので、複数のCADで設計した複数のDWGファイルをEASE 5上で統合してモデリング可能です。

◆ 残響時間設計

EASE 5では、建築モデル、Eyringの計算式に基づく残響時間の周波数特性、使用されている各マテリアルの吸音率周波数特性の3つの画面を同時にモニターすることができます。その状態で、建築モデル画面のマテリアルを選択し、該当するマテリアルの各帯域の吸音率をマウスで変更すると、リアルタイムで変更後の残響時間周波数特性を確認することができます。
この機能により、所望の残響時間周波数特性を実現するために、どのような吸音率周波数特性を持ったマテリアルが適しているかを、容易に導き出すことができます。その後、豊富なマテリアルデータベースから、最も近い吸音率周波数特性を持ったマテリアルを選択することで、残響時間の設計をスムーズに進行できます。
以下の画像は、床のマテリアルの630Hzと800Hzの吸音率を変更し、残響時間の変化を確認している様子です。

◆ 生楽器をモデル化した音源の利用

EASE 5の建築音響シミュレーションでは、生楽器や歌手などを無指向性音源としてではなく、指向性を持った音源として使用できます。
ベルリン工科大学とアーヘン工科大学が協力し、楽器や歌手の声の3次元インパルス応答を無響室内で測定し、その情報を元にAFMG社がEASE5の音源フォーマットであるGLLデータ化しました。これらのGLLデータは全部で22種類あります(2025年4月現在)。
EASE 5では、建築モデル内にスピーカーに見立てたそれら音源を配置することにより、楽器の指向性や音響パワーを再現でき、各楽器のカバレッジ予測、音の補強の方法検討、室内音響と楽器の相互作用の評価などを実施できます。また、録音やPAの際、各楽器のマイクロフォン位置の妥当性を検証することもできます。
加えて、無響室録音の楽器WAVファイルを使用することで、リアリティと精度の両方を向上させた可聴化を行えます。

以下画像の赤枠の部分が、楽器や音声のGLLデータライブラリーです。なお、背景にある建築モデル内のマッピングは、ステージ上にSinger(female)を配置し、EASE 5のAcousteer機能で、女性歌手の声の直接音をホール内のオーディエンスエリアにリアルタイムマッピングしている様子を示しています。
※これらのデータは、EASE 5 Loudspeaker DatabaseのTU Berinというブランドをクリックするとダウンロードできます

◆ 高速音線法AURAによるISO3382準拠の音響シミュレーション

EASE 5 Proに搭載されているAURAは、EASEの計算モジュールの中で計算速度と精度において最も優れており、あらゆるシミュレーションの品質が向上します。特に、複雑な構造をした音楽ホールや多目的ホール、屋外音楽堂などでは他の手法と比較して極めて現実に近い予測結果になります。
また、シミュレーションを開始するにあたって通常必要な音線数や追跡時間の設定などの面倒な作業は不要で、予測精度ごとに表示されるパラメータセットを選択するだけです。
AURAは、Eyringの計算あるいは入力された残響時間の周波数特性は使用せず、予想される応答の全時間に渡るレイトレーシングで得られたエコーグラムやレフレクトグラムを音響指標の計算に利用します。その際、マテリアルの散乱も計算します。もちろん、ISO3382の全ての室内音響指標を計算することができます。
以下画像は、指定位置でのT20(残響時間)の分析画面です。

◆ マテリアルデータベースとカスタムデータ作成ツール

EASE 5は、各メーカーの代表的なマテリアル製品に加え、各種建築音響関係の文献において、マテリアルの構造や仕様を元に測定あるいは計算され紹介されている多くのマテリアルを、データベース形式で搭載しています。
データベースは、 ドロップダウン形式で簡単に参照、選択でき、建築モデルのFaceに素早く貼ったり変更したりできます。 吸音率だけではなく散乱係数についても、同じマテリアルデータの中に格納できます。

EASE 5 には、カスタムマテリアルや新しいマテリアルデータを作成するツール Material Editor機能があります。この機能を用いることで、マテリアルデータベースに無い、例えば特別に製作した吸音板や座席などを自由にEASE 5 のマテリアルとして利用できます。
以下画像は、Material Editorを立ち上げ、 吸音係数、散乱係数、ラベル名、説明文章を新たに入力した結果を表示しています。

◆ 可聴化

EASE 5の可聴化機能では、建築モデル内の指定位置で、到来する音をバイノーラル(あるいはトランスオーラル)で立体的に聴くことができます。
EASE 5 JRとStandardでは直接音の可聴化が可能で、室内音響の影響を受けない楽器や音声本来の音について、距離減衰や空気吸収、そして指向性による音圧レベルや音色の変化などが確認できます。
Proでは直接音に加えて残響音および反射音を含めた可聴化が可能で、会場内の響きの確認と共にロングパスエコー等の音響的な問題点の発見に役立ちます。
以下画像は、EASE 5 Proの可聴化プレーヤー画面です。計算エンジンにはLakeとEARSがあり、Lakeではバイノーラル可聴化をリアルタイムで、EARSではバイノーラル可聴化およびトランスオーラル処理をファイルベースで行います。
入力信号は、無響室録音されたモノラルWAVファイルが使用できます。EASE 5には、男性アナウンス(英語)のWAVファイルがあらかじめ搭載されていますので、すぐに可聴化評価が可能です。

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